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「マザッチョ」について
「芸術家列伝1」(ジョルジョ・ヴァザーリ著 平川祐弘・小谷年司訳)の「マザッチョ」について、気に留まった箇所をピックアップいたします。「いかなる分野の仕事であれ、秀でた人物が出現するとき、多くの場合たった一人だけでないのが自然の摂理である。通常、同時に好敵手があらわれ、たがいに技を競い合い切磋琢磨し合うようにある。~略~あたかも、この説の正当性を証明するかのように、フィレンツェにおいてそれぞれの分野で抜きん出た才能を持った人々、フィリッポ・ブルネㇽレスキ、ドナテㇽロ、ロレンツォ・ギベルティ、パーオロ・ウッチェㇽロ、マザッチョが時期を同じくして競うがごとく輩出したのであった。」マザッチョの画風と人物について述べた箇所があります。「絵画におけるぎこちなさ、不完全、困難な表現を克服した先達の一人に数えることができる。美しいポーズ、動き、高貴性、躍動感、全く自然で均衡のとれた立体感を生み出したのも、マザッチョをもって嚆矢とする。~略~まったくもって風変わりな、無頓着な性格で、絵画一筋、自ら奉ずるところも少なく、他人を一切気にしなかった。俗事には一切かかずらおうとせず、服装には無関心、他人に金を貸しても、よほど本人が困らなければ返却の請求もしなかった。本名のトンマーゾの代わりに誰からも、きたないトンマーゾ、すなわちマザッチョと呼ばれていた。悪い性格のためではなく、性すこぶる善良で、奇行が多かったためである。」マザッチョの業績について触れた箇所がありました。「聖ペテロの洗礼の物語のなかで、多くの受洗者にまじって、寒さに凍えふるえている裸の人物の評判が特に高い。浮彫りの効果も美しく、優美に描かれているため、古今の画家から常に高い評価を受けてきた。それゆえ、多くの画家、大家が今日にいたるまで礼拝堂に絶えず通ってくるのである。~略~マザッチョの作品はすべて賞賛された。26歳の若さで彼を見舞った死が、現世から彼を奪わなければ、さらに大きな芸術上の収穫をあげたであろうと多くの人々は考えている。いや確信してやまない。運命の神のねたみか、あるいは美しいものは長続きしないのが当たり前なのか、花の盛りにマザッチョは世を去った。死はあまりに突然で、毒殺以外に原因はみあたらないとする人にも事欠かない。」今回はここまでにします。