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映画「ペリリュー 楽園のゲルニカ」雑感
今日の朝日新聞夕刊に表題の評論が出ていました。戦後80年の今年を代表する映画として、主人公は絵を描くのが好きな一等兵で、本作は「砲撃と殺し合い、苛酷な飢えと病、敗戦を知らずに洞窟に立てこもる日本兵の悲劇」という情景が全編にわたっていて、自然豊かなパラオ島を舞台に、絵を通して主人公が兵士たちを記録をしていく物語が展開されていきます。本作を知ったのはやはり先日の朝日新聞の映画評で、こんな一文が私に刺さりました。「戦争には国を守るという国体防衛のヒロイズムが付きまとうが、前線に送り出された者は恐怖と飢餓の根源的な試練に直面し、個人の生存本能と国家の理想の間で引き裂かれる。無残な死に方が何度も登場し、アニメだから直視できるが、感受性も無傷ではいられない。覚悟のいる企画である。」今日の夕方、家内を誘って横浜の鴨居にあるエンターテイメント系映画館で本作を観て、既読の映画評が具体的な描写になって眼の前にやってきました。主人公は上官から命令されて、仲間の最期の勇姿を遺族に向けて書き記す「功績係」をやっていて、どんなに惨めな最期でも、果敢な勇姿に仕立てていました。物語が進むうちに敵である米軍との関わりよりも、一緒に戦っている仲間とのやり取りの方に厳しい状況が描かれており、主人公には生き延びて帰国したい厭戦的発想もありました。国のため命を惜しまない上官や仲間もいれば、主人公に共感する友達もいて、複雑な関係の中で、主人公が米軍に投降する際にそれを味方に拒まれて殺されかけたりもしました。戦争が終わっていたにも関わらず、投降しない34人の兵士たちに望郷の念を抱かせたのは、主人公が書き残した兵士たち一人一人の記録で、それによって兵士たちの出所が判明し、日本で待つ家族たちが彼らに手紙を送ってよこしたことが契機になりました。観終わった後で、本作は名作だろうと私は感じました。これは実写やリアルなアニメ描写であれば、とてもまともに見られない場面もあり、3頭身の愛らしい人物キャラクターであるからこそ、かなり強烈な描写もソフトにアレンジされていると思いました。