Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「聖堂をいかにデザインするか」について
「ロマネスク美術革命」(金沢百枝著 新潮選書)の「第6章 聖堂をいかにデザインするか」の気に留まった箇所を取り上げます。「旧サン・ピエトロ聖堂の佇まいは、その建築プランから細部の装飾にいたるまで、後代の聖堂建築に多大な影響をおよぼした。ローマの旧サン・パオロ・フオリ・レ・ムーラ聖堂やサン・クレメンテ聖堂などは、規模は小さいものの、サン・ピエトロとそっくりな作りである。もちろん影響はローマ市内に限らず、10世紀にはドイツのフルダ修道院、11世紀初頭に改築されたスペインのリボイ修道院、イタリア中部のモンテ・カッシーノ修道院などのロマネスク建築が旧サン・ピエトロ聖堂のプランを踏襲している。サン・ピエトロの身廊は旧約・新訳聖書の物語場面で覆われていたが、その壁面の図像もヨーロッパ中に流布していった。~略~古代ローマの世俗的な集会所であるバシリカに倣い、コンスタンティヌス大帝の建てた二つの聖堂に範を仰ぎ、堂内の聖性を高める工夫を積み重ねながら、キリスト教徒たちはヨーロッパ各地に聖堂を作りだしていった。そして、あの11世紀の建築ブームによってその数は急増し、都市部だけでなく田舎の村々にも次々と聖堂が建てられていった。この新たな聖堂、すなわちロマネスク期の聖堂が古代ローマ建築の遺産を受け継ぎ、これまで確認してきたような起源と定式を踏まえていることはいうまでもない。」ここで北方民族の装飾に論文が移っていきます。「『結び目』は邪を祓い、俗の侵入を許さない『結界』の印なのだ。だからこそ、蛇やドラゴンは、聖なる領域と俗なる領域を截然と分かつ扉口に絡み合って棲みついた。南方ラテン的なものとは異なる、北方ゲルマン的な『聖域の作り方』である。絡み合う動物たちのなかでは、何といっても蛇とドラゴンが、ドラゴンではとくにその頭部が重要である。船の舳先につけた竜頭は護符の働きをなしており、9世紀から10世紀にかけてのアイスランド入植の記録を記した『植民の書』には、『口を開いた頭や広く開いた鼻をつけたまま陸地に向かって船を進め、これによって地霊が怯えるようにしてはならない』とあって、その竜頭の取り扱いに注意を喚起している。」今回はここまでにします。