2025.02.11
「密教」(正木晃著 筑摩書房)の「第三章 マンダラの理論と実践」の中の単元「金剛界マンダラ」について気になった箇所をピックアップします。「『大日経』とならんで、『両部の大経』とたたえられてきたのが『金剛頂経』である。『金剛』はサンスクリットのヴァジュラ、すなわちダイアモンドという意味で、ホトケの真理の永遠不壊を象徴する言葉だ。密教では、真理をこの金剛という言葉をもちいて表現することが多い。~略~『金剛』は、ホトケの永遠不壊の智恵を象徴する。『界』は、基盤や要素を意味する。したがって、金剛界は『ホトケの永遠不壊の智恵の基盤』というほどの意味になる。~略~伝統的な教学では、胎蔵の大日如来が、いま現実にある宇宙ないし世界の『理』を象徴する『理法身』なのに対し、この金剛界の大日如来は、ありとあらゆる事物の本性を見抜く『智』を象徴する『智法身』と呼ばれる。~略~『金剛頂経』は、利他行の集積を、真言に代表される象徴によって代替した。そして、一刻も早く成仏し、絶対の智恵をもつホトケとなったうえで、その超人的な力を駆使して、生きとし生けるものすべてを救済せよと要請する。」次に五智如来についての説明です。「最も重要なのは、マンダラの中央に坐している五智如来である。~略~法界体性智は、法界(絶対真理の世界)の体性(実在性)そのものの智恵をいう。~略~大円鏡智は、鏡がすべての対象を正しく映し出すように、法界体性智にすべての対象を正しく映し出す働きをもつ智恵をいう。平等性智は、一見したところ、ありとあらゆるものはまさに千差万別だが、そういう差異の底にある平等性や共通性を知る智恵をいう。妙観察智は、平等に見えるもの、共通に見えるものの、そのなかにある差異を正しく観察する智恵をいう。~略~成所作智は、ものごとを生成する智恵をいう。~略~密教では、これらの五つの智恵をもって、すべての智恵を完璧に網羅すると考える。そして、五如来に配当する。」今回はここまでにします。