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「聖母の教義」について
「聖母像の到来」(若桑みどり著 青土社)の「第5章 布教第二期ー日本人による聖母像の制作」は5つの単元から成っていて、今回は「1日本における聖母の教義」について取り上げます。「日本ではどのようなマリア教義が教えられたか。聖画像は、その基本となる教義なしには制作され得ない。聖母擁護論は当時の宗教的状況にとって特に重要な問題であった。マリアは対抗宗教改革期にはとりわけ傷つきやすいドグマであったので、とくに日本で作成された『神学綱要』においては、マリアについての教義の正統性が留意されたのである。~略~日本人に教えられた『神学綱要』の内容は、第一部が『カトリック信仰に関すること』で、信仰、聖書、伝承、教会、公会議、創造主、御子、聖霊などについて説明しており、第二部は秘蹟、第三部は十戒、第四部は祈り、最終部は徳と罪である。主として参照された文献は、聖書、公会議決定、ギリシャ教父(オリゲネス、ヨハネス・クリュソフトモス)、ラテン教父(アウグスティヌス)、中世神学(トマス・アクィナス)であり、トレントのカテキズモ、カニシウス、サラマンカ学派などトレント神学の影響が強い。」私には馴染みのない宗教用語があって難解ですが、たとえばカテキズモとはキリスト教の教理をわかりやすく説明した要約のことだそうです。「ヴァリニャーノは1586年に自ら日本の文化、宗教を考慮して、日本人学生向けの『日本のカテキズモ』を著わした。この著作はゴメスの『神学綱要』よりもはるかに簡潔で、わかりやすく、異教徒の知識人にとって納得のいく理論的な説明に意を砕いているものである。この本の最後の章八講の終わりで、ヴァリニャーノは、聖母マリアについて以下のように述べている。マリアはダヴィデの一族であり、デウスは、全人類に対して罪の汚れから世界を浄めるために救済する男がダヴィデ一族の乙女から生まれるだろうと予言していた。デウスは彼女に神的恩寵の恵みを積み重ね、またあらゆる種類の賜物で飾り立てたので、『かの女は世界創造の最初から存在し、すべての女のなかで最も聖でありかつ最も完全であった。行ないと生活のかくも大いなる神性と、諸徳のこれほどの完全さは、デウスの御子の母になる乙女にふさわしかった』。これは聖母の無原罪の講義であり、異説をすべて否定する権威あるいいかたである。」今回はここまでにします。