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西洋の没落「都市と民族と」そのⅡ
「西洋の没落」(O.シュペングラー著 村松正俊訳 五月書房)の第二巻を読んでいます。そのⅡとしたところは「民族、人種、言語」という副題がついています。3つのテーマの中で自分は言語に着目しました。「ことば語で虚言をつく者は自分で気のつかないうちに、身ぶり語でその実を暴露する。身ぶりで見せかけをするものの本心は、口調に現われる。固結した言語は手段と意向とを分離させるからこそ、識者の眼を決してごまかすことができないのである。識者というものは、その眼光は紙背に徹する。そうして人の挙動とか筆蹟とかを一目見さえすれば、すぐにその人を理解する。精神的共同体がより深く、より緊密になればなるほどそのために、記号をすて覚醒存在による結合をすてる。真の友情は多くのことばをつかわないでたがいに理解するし、真の信仰は沈黙するだけである。またもや言語をこえた非常に純な諧調の象徴は、夕方には家の前にすわり、そうして沈黙したまま語り合う老いた農夫の夫婦である。おたがいにその相手を考えたり、また感じたりすることを知っている。ことばはこの和合を攪乱するだけのことであろう。この相互理解からはなにものかが出てきて、高等動物界の共同生活をはるかに超えて、すべて自由にうごく生活の原始歴史のなかにふかく達している。ここにこそ覚醒存在からの解放が、瞬間ごとにほとんど到達されているのである。」単元のまとめというより部分的な引用ばかりになっていますが、論理が多くの分野を横断するため、気に留めた箇所だけの記述にさせてもらっています。