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西洋の没落「国家」そのⅡ
「西洋の没落」(O.シュペングラー著 村松正俊訳 五月書房)の第二巻を読んでいます。第4章「国家」の、そのⅡとしている副題は「国家と歴史と」です。「国家はその純粋な形式に近づけば近づくほど、絶対的になればなるほど(すなわちすべての他の形式理想から遊離して)、国民の概念は階級の概念に対してますます重要さを加えてくる。そうして国民が国民として統治せられ、階級がただ社会的区別を表示するにすぎない瞬間がくる。文化の必然であって、不可避的であり、取り消し得ないものであるこの発展に対して初期の勢力である貴族身分と僧侶身分とがもう一度反抗する。かれらのためにはすべてが英雄的なことと宗教的なものとが、古い権利が、品位が、血が賭けられている。」「西洋の国家世界においては市民的な階級政治の両面、すなわち理想的と現実的側面はイギリスにおいて最高の訓練を受けた。第三階級が専制国家を破壊してその残骸の上に自己支配権を建設するために、この専制国家に対して断固たる行動に出る必要のなかったのは、イギリスにおいてだけできたことである。第三階級は第一階級の強い形式のなかにはいって成長し、そのなかに完成された利益政治を見い出し、またその方法として自己の目的にとってそれ以上望むところはない程完全な古い慣習による戦略を見い出したのである。」この章では国家が形成される過程が、中国を含めた世界的視野と比較でもって書かれています。