2013.03.05
「カラヴァンは土地の記憶(歴史)とむすびつく巨木(人間より遥かに長い生命をもつ)を対象に『場』を求め、自己を語るという内在的な裏づけによって『時』を確認する。(文尾略)そして出遭いの対象を語ることにおいて普遍的な世界(宇宙への秩序)へと近づき、自己を語ることにおいて、それを個別的なものにしようとする。」文章の引用は現在読んでいる「彫刻家との対話」(酒井忠康著 未知谷)によるものです。ここでダニ・カラヴァンの造形世界の考察が述べられていますが、どうも自分の記憶の片隅にあるので、NOTE(ブログ)のアーカイブを調べてみると、自分は2008年10月4日(土)に「ダニ・カラヴァン展」を見に世田谷美術館に行っていることが判明しました。美術館回廊にあった作品「ヤコブの椅子」も記憶に甦ってきました。引用した文章にある作品は「水滴」という題名がつけられていたことも思い出しました。展覧会全体の印象は広大な土地に設置した作品の雛型や写真が多数あって、地球的な規模で造形するカラヴァンのあまりにも大きな世界観に驚嘆していました。イスラエルに生まれたカラヴァンは、国の政治状況からしても平和への願いは日本人とは比べものにならず、広大な土地で造形を行うカラヴァン芸術の根底には、そうした人類不滅のテーマが息づいていると感じました。改めて、と表題にしたのは再度カラヴァンの世界を考えてみたかったためです。