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東京小平市の「スタシス・エイドリゲヴィチウス展」
昨日、東京都小平市にある武蔵野美術大学美術館で開催されている「スタシス・エイドリゲヴィチウス展」に行ってきました。リトアニア出身でポーランドで活躍する画家スタシス・エイドリゲヴィチウスは、なかなか覚えられない長い名前のためか、私はそれまでこの画家を知りませんでしたが、展覧会場に入るなり、その絵画の素晴らしさに思わず見惚れてしまいました。展示前半は私が日々作っているRECORDと同じサイズの小さな作品が多数並んでいました。どうしてそのサイズになったのか、理由は1974年当時に編入されていたソ連の兵役に就いていた時、彼は上官の目を盗んで、すぐ隠せるサイズの紙に絵を描いていたことがその根拠になったようです。しかも細密に内面世界を描き出す作品は、どれも完成度が高く目を見張るものがありました。私はRECORDを作る際の刺激を大いに貰った感じがしています。RECORDにはもう少し時間をかけなければならないと思いました。彼にとって絵画は解放区と言うべきもので、寓意と哀愁が漂いつつ、東欧の土俗性が根付いていて、その卓抜としたシュルレアリスム的世界観に、私は圧倒されていました。特徴としては顔の戯画化が多く、真ん丸な目がこちらを見つめているような錯覚を起こします。その目は人間の目ばかりではなく、鳥や動物の目のようにも感じました。彼はポスターや絵本にも着手していて、どこかで一度は手にしたことがある絵本も展示されていました。絵本では「ながいおはなのハンス」が有名かなぁと思いましたが、作者名を気にしたことはありませんでした。社会主義時代から体制が変わった時代を経験し、規制がなくなって自由に表現できる喜びを体現しているスタシス・エイドリゲヴィチウス。私のRECORD制作とはスケールが違いますが、私も昼間の公務員としての仕事から解放される喜びを表現しているところでは変わらないのではないかと自負しています。本展で明日への意欲と継続していく根気と勇気をもらうことが出来て、私にとって最高の幸せを齎せてくれたと思っています。しかも800点の作品が展示されていたことは特筆に値します。