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「モディリアーニ」第8章のまとめ
「モディリアーニ 夢を守りつづけたボヘミアン」(ジューン・ローズ著 宮下規久朗・橋本啓子訳 西村書店)の第8章「南フランスで迎えた終戦」のまとめを行います。本章ではモディリアーニの妻となるジャンヌ・エビュテルヌとの出会いがあります。モディリアーニと知り合った頃の彼女はまだ十代で、国立美術工芸学校に在学していました。「モディリアーニに会うやいなや『彼女は俺(モディリアーニ)の虜になった』と誰もが認めている。ジャンヌがモディリアーニに心を引かれたのは、彼の容貌に魅せられたのと同時に、彼の才能、とりわけその画風と、彼の女性関係に興味を覚えたからであった。」ジャンヌは良家出身で無垢な面と野心家の面があったようです。ジャンヌはモディリアーニの子供を身籠り、やがて女子を出産します。「生まれた子供は女の子で、母親の名前をとってジャンヌ・エビュテルヌと名づけられた。しかし、モディリアーニは娘をジャンヌのイタリア語名であるジョヴァンナという名で呼んだ。彼は興奮し、喜んではしゃぎまくり、情熱的で忘れっぽい父親となった。赤ん坊が生まれた後、彼は興奮のあまり、市役所に行って出生届を出すのを忘れてしまったのだ。」こんな一文もありました。「モディリアーニの赤ん坊の成長に対する喜びと驚きは、彼がほかのことにも強い関心を見せていることから、突飛にも思えるが、赤ん坊に対する彼の気持ちは本物であった。」彼の画商ズボロフスキーは画家オステルリンドの家に彼を連れて行きました。「『モディリアーニは…イタリアの貴公子のごとく美しい男だったが、疲れ切って汚れていた…あたかもジェノヴァの港で引き上げられたように。彼の影のように彼に寄り添うズボロフスキーは、その親密な友情から、彼をニースの危険な生活から守ろうとしているようであった』オステルリンドとその妻ラシェルは、モディリアーニを精一杯あたたかくもてなした。」オステルリンド宅の近くに77歳の巨匠ルノワールが住んでいて、モディリアーニを紹介することになりましたが、話がお互いの作品のことになると会話に緊迫した雰囲気が流れたようです。「作風からいっても両者の違いは明らかだった。肉体そのものの美しさに魅せられていたルノワールは、素朴でありながら様式化された優美な裸婦を描くモディリアーニに反抗した。モディリアーニは明らかに、この年長の画家の挑発的な反抗心に気づいていた。」