2021.09.07
栃木県益子町にある明智鉱業はもう３０年以上前から私と取引がある陶芸資材専門店です。３０数年前に私は海外生活を切り上げて、日本で創作の拠点を確保してから彫刻の素材となる材料探しを始めていました。その頃同時に教職に就いていたので、なかなか自由な時間が持てず、そこで頼ったのが茨城県笠間で陶芸を始めていた友達でした。週末になると横浜から車を走らせて、栃木県や茨城県の陶芸の里を訪れていました。自分の彫刻のイメージを具現化するためには陶芸の力が必要だったのでした。友達に誘われて、初めて訪れたのが明智鉱業で、そこであれこれ調達した道具が今も工房にあります。窯や土錬機は滋賀県から取り寄せましたが、その他のものはほとんど明智鉱業で購入したものです。陶彫を始めて数年は陶土の混合に力を注いでいて、数々のテストピースを作っていましたが、その時使用したさまざまな陶土も明智鉱業の倉庫にあった日本各地の陶土で、それらを車で横浜に持ち帰ってきました。「発掘」シリーズが漸く出来上がってきたのは、多種類の陶土の配合と焼成の時間による実験の成果です。「発掘」シリーズが始まった頃から、私の教職生活が忙しくなり、明智鉱業から陶土を取り寄せる方法に切り替えました。年間どのくらいの陶土が必要か、毎年新作でどのくらい使用するかを考えながら陶土を取り寄せていましたが、ここ数年は８００ｋｇに落ち着いています。今日の夕方、この陶土８００ｋｇが届きました。陶土が遥々益子町からやってくると、私は途端に嬉しくなります。意欲も湧いてきます。明日から新しく購入した陶土を使って、現行の新作に取り組みたいと思っています。