Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

週末 シュトーレンの季節
今日も昨日に続いて工房に篭って、一日中新作の板材に刳り貫き作業をやっていました。今日の話題は制作のことではなく、川崎市の洋菓子店から送ってもらったシュトーレンのことについて書いていきます。今を遡ること40年前に、私はオーストリアの首都ウィーンにいました。その頃に日本人パティシエと出会い、彼とは異文化を一緒に学んでいた仲間となって交遊を繰り返していました。彼は実家が川崎にあったので、帰国後そこで洋菓子店を経営することになり、私との交遊は日本でも続いているのです。彼の店マリアツェルはドイツやオーストリア菓子を専門にしていて、日本人の嗜好に合うかどうか、最初の頃に私は心配していましたが、欧州菓子はすんなり日本人にも受け容れられるようになって良かったと思っています。時折ハードなものもありますが、そこは愛嬌かなぁと思っています。シュトーレンはドイツやオーストリアで昔からクリスマスの時期に食べられていた菓子パンです。長く保存もできるので、日本人の好みに合うふんわりしたものではありません。ドライフルーツやマジパンの入ったやや硬いパンですが、私の大好物です。この時期はマリアツェルに出かけてシュトーレンを購入してくるのですが、今年は送っていただくことにしました。彼の作るシュトーレンは本格派で、40年前のウィーンを思い出すのです。シュトーレンの原点は1329年にナウムブルグの司教に贈呈したクリスマスの贈り物だったようですが、ドイツではドレスデン発祥のものとしてシュトーレン祭も開催されています。シュトーレンというのはドイツ語で「坑道」という意味で、所謂トンネルのことですが、幼子イエスを包んでいたおくるみに形が似ているという宗教的な説もあるようです。クリスマスを迎える4週間前から1切れずつ食べ始める習わしがあって、ウィーンではもうシュトーレンを食べているのかなぁと思っています。欧州に関わりのある方々に本格派のシュトーレンを贈ろうと思っています。彫刻家の師匠、ウィーン幻想派をやっていた先輩の画家、声楽家の叔父宅等に郵送いたします。