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「マルセル・デュシャン全著作」を読み始める
「マルセル・デュシャン全著作」(ミシェル・サヌイエ編 北山研二訳 未知谷)を読み始めました。本書はどこで購入したのものか忘れていて、以前から自宅の書棚にあったものです。自分で手に入れておきながらデュシャンの全著作というタイトルに興味半分と一抹の不安を覚えます。前に読んでいた「アンドレ・ブルトン伝」と同じく本書も分厚い書籍ですが、頁を捲ってみると図解やメモがあったりして、私にどの程度理解ができるのか、甚だ心もとない限りです。マルセル・デュシャンは多様化した現代美術の礎を作った立役者で、それは美的価値の転換を図った革命家であったと私は考えています。デュシャンが登場したことで、私が今も信奉する彫刻表現が解体されてしまいました。そんな現代美術はどこへ向かうのか、デュシャンの思考にもう一度立ち返り、造形そのものを問うてみることも必要かなぁと思っています。本書は4章から成り立っています。「はしがき」にある4つの章に関する短文を引用いたします。「『花嫁のヴェール』は、〈大ガラス〉つまり『彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも』に関するメモ全体である。『ローズ商会』は、『ローズ・セラヴィ』(1939年)の場合と同じ形式のコントルペトリー、地口、言葉遊びの集成である。『批評家マルセル・デュシャン』は、評論、略注、批評的警句である。『テクスティキュール』は、以上の章に入れられなかったその他の全般的に短いテクストである。」この4つの章の分類を見ても、私には何のことか分からない状況ですが、ガラスが嵌め込まれた作品「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」は複数作られたうちの1点を見たことがあり、「ローズ商会」についても言葉遊びという手段がどういうものか、何となく知っています。日本で開催された「マルセル・デュシャン展」には足を運んでいるので、造形作品に関しては私でも多少の理解はしているつもりです。本書によって、どんな思索が自分に与えられるのか、出来るだけ感度を良くして読書に臨みたいと思います。