Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「文明」は暴力の休止期間
今朝の朝日新聞「折々のことば」に掲載された記事に目がとまりました。「偉大な創造的行為やまっとうな人間関係はすべて、力が正面に出てこられない休止期間中に生まれるものである。E・M・フォースター」この文章に対して著者の鷲田精一氏がコメントを書いています。「社会の基盤はたしかに力によって支配されるものだが、大事なのは『それが箱から出てこないようにする』ことだと、英国の作家は言う。『文明』とは、ほかでもないこうした暴力の『休止期間』を意味する。暴力が眠っていない間は、寛容も善意も『軍靴に踏みにじられる一本の花』にひとしいと。評論『私の信条』(小野寺健訳)から。」ウクライナでは現在も大切なものが踏みにじられる行為が行われています。世界文化遺産であるオデーサの救世主顕栄大聖堂がミサイルによって破壊されたというニュースが入ったばかりで、私の心は痛みました。美しいものを感受する心は世界共通で、どんな人にも素晴らしさを齎すと私は信じています。そこに宗教や民族性を問わず、多文化を認め合う大きなパワーが存在すると思っています。暴力が猛威を振るっているうちは、美しいものは存在を失い、破壊を受ければそのままになってしまいます。私たちの文明は、暴力の休止期間に発展を遂げたというのがフォースターの持論です。戦争からは何も生まれない、科学の発展は見込まれるかもしれませんが、人が美しいと感じるものは何も生まれないのです。己の領土拡大のためにその土地の文化を奪うのは大変な罪になるということを分かってほしいと私は願っています。その土地で育まれた文化を否定して、支配した国に他民族を同化させる政策も私は間違っていると思っています。勿論我が国もそうした愚かな政策をしてきたのは理解しています。過去の間違いを反省し、現状で正しいことを選択するのも私たちで、他者を敬う心も育てていくべきだと考えます。