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note

「風土学の歴史的考察」➀
「風土」(和辻哲郎著 岩波書店)の「第五章 風土学の歴史的考察」の中で気に留めた箇所をピックアップします。第五章が本書の最終章になるため、じっくり読んでいきたいと考えて、本章を3つの単元に分けることにしました。ここでは歴史哲学という分野に着目していますが、その分野で有名なヘーゲルではなく、著者はヘルゲルを取り上げています。ヘルゲルは風土と人間の関わりに重要な先駆的業績を残した人らしく、冒頭にこんな文章がありました。「近世においてこの問題を特に取り上げたのは、歴史学精神科学の上に新時期を画したヘルゲルである。ちょうど啓蒙時代の合理主義的な文化解釈、悟性的な目的概念に導かれた歴史叙述、などが流行していた時代に、彼はおのおのの国民おのおのの時代の独自の価値を承認し、それを風土との連関において考察したのである。しかもそれが自然科学の力強い勃興の時代、従って認識論がただ自然科学の基礎づけにのみ努力していた時代に起こった、というところに、非常に大きい意義が認められる。彼以前にあっては自然環境と歴史(あるいは運命)との連関の問題は、自然科学的な見方と精神科学的な見方との無自覚的な混淆の下に取り扱われていた。彼はこの混淆に打ち克って、それを精神科学的な問題として立てようとしたのである。」その一般的な方法について論及したところがあります。「彼の『人類史の構想』は、当時の自然科学的知識にもとづいて、まず天体の世界における地球の位置から説き起こし、次いで地球上の動植物の組織、その中での人の組織の特性、従って人の存在の意義に説き及び、そこから種々の民族の特性に論じ入って行くのである。」壮大な捉えはさまざまな分野に及んでいきますが、私はほんの些細な箇所を扱ったちょっとした文章に惹かれました。「我々は日常生活においてすでにかかる人相学を使っている。慣れた医者は病人の態度や顔つきを見てその病気を直覚する。子供は相手の顔つきやそぶりから子供好きであるか否かを見破ってしまう。もっと一般的には、人の顔つきを見ただけでその人の心に渦巻いている感情を理解することができる。すなわち我々は普通に人相学的な眼を使って、形姿に開示されている精神を理解しているのである。このような日常生活的人相学情相学を学問的に純粋にしたのが彼の方法にほかならぬのである。」今回はここまでにします。