Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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久しぶりに箱根ラリック美術館散策
先日、家内を誘って箱根にドライブに行ってきました。彫刻の森美術館の次に向かったのは箱根ラリック美術館で、私は本当に久しぶりだったため、美術館の外見しか覚えていない有様でした。家内はアクセサリーを作っていることもあって、叔母とラリック美術館に来ていて、今回もフランスの近現代工芸を代表するルネ・ラリックの緻密な作品を堪能していました。私は20代の頃の滞欧中にラリックを知りました。当時、分厚い高価なラリック作品集を咄嗟に購入してしまい、経済的に困窮してしまったのを今も思い出します。私はラリックに2つの特徴を見ていて、ひとつは彫刻性、もうひとつは日本の伝統様式を取り込んだデザイン性でした。ギャラリーショップで当館のコレクションに関する書籍を手に入れて、その箇所を引用いたします。「ガラスの彫塑性にはやくから着目したラリックの卓見については、しばしば指摘されることだが、ロダンが発見した、空間の流動性、アール・ヌーヴォーを先駆するその新しい世界観を、ラリックもぴったりと伴走しながら追い求めている。」(新見隆著)ラリックの工芸品に彫塑的なボリュームを感じるのは、彫刻家ロダンの影響があったのかと、私は納得しました。もうひとつの日本の伝統様式に関する文章を引用いたします。「水の意匠化に卓越した尾形光琳は、水の多様な表現をとらえ、生涯、その造形を追及した人物である。柔らかい線で描かれた水には、不思議な生命感すら漂う。平面上で水紋が波動してみえる、鮮烈な印象だ。~略~ラリックも、水のデザインに取り組んだ。水のしぶきを観察することで生まれたネックレス《飛沫》は宝石細工に属するが、水の抽象化に優れた、現代にも通じるモダンなデザインでもある。水は波紋を広げ曲線を描くが、静寂さも失わない。ラリック作品に、横たわっている空気感がそれである。しんと冷えきった冬の空気。蜂は霞の中に、バッタは朝靄の中にいる。」(神成幸子著)当時のアール・ヌーヴォーの作家たちはラリックに限らず、日本の美術に影響を受けていたようで、日本人が創作した意匠を私は誇らしく思っています。