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新聞記事より 「生き延びるためには…」
先日の朝日新聞「折々のことば」より、記事内容を取り上げます。「生き延びるためには、勇ましくあってはならない 森村泰昌」この言葉に著者の鷲田精一氏がコメントを寄せています。「美しさを究めようとする者は、美しくないものを容赦なく消し去ろうとする。そしてその刃は、美しくないものの筆頭として、美を求める自分自身に向けられると、美術家は言う。勇ましさばかり求めるのも同じ。芸術にできるのは、生き損ねた人や出来事に、『わすれないでいるからね』と、孤独なまなざしを向けることだけだろうと。『生き延びるために芸術は必要か』から。」芸術とは何かを問いかける文章は、勇ましくない強かさを持って、私の胸に沁みわたってきました。軍事力を鼓舞する国際社会になると、芸術や文化は沈黙します。と言うか、芸術や文化の発する声が聞き取りにくくなると私は考えます。私たちがやっている創作活動は、直接国家に利益を齎すものではありません。それは生産性のないものなので、強いものが罷り通る世の中になれば、真っ先に芸術は棄てられます。芸術の主張は声高に叫ぶ要素がないため、社会の中の厄介なものの扱いを受け、時には嘲笑の的にもなります。そんな風潮になっても、全体統一国家の中で生きづらいと考える人がいて、そういう人に芸術の声が俄かに届くのです。芸術は価値の統一を求めず、寧ろ個人個人の価値観の相違に活力を見いだす分野です。時代によっては後ろ向きな生き方と映るかもしれませんが、そうしたお互いの相違を認め合う社会に芸術は根付きます。芸術が豊かに実る社会は、多様化が進んだ成熟した社会なのだろうと私は思っています。