Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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新聞記事より 気に留めた言葉
深い感動を覚えるのではなく、衝撃もないのですが、頬を撫でられるそよ風の如く、妙に気に留まった言葉がありました。先日朝日新聞に掲載されていたのは、詩人谷川俊太郎の手書きを撮影した画像で、記事には高齢者介護施設を彼はよく訪問して「寄り合い」と称する高齢者との会話を楽しんだ様子が描写されていました。全文引用します。「/よるがちかづくとたましいは/りくつをわすれる/あいのしょっぱさも/いきることのすっぱさも/よけいにあじわえて/りきむことなく/あえかなまどろみに/いいゆめをみて/よれよれのからだも/りすのよう きにかけのぼり/あまいこのみを/いっぱいとってくる/よろこびになんの/りゆうもなく/あすはちかくてとおい/いきるだけさ しぬまでは」私が/をつけた部分は改行であって、その最初の文字を拾っていくと、この詩のタイトルになります。つまり「よりあい よりあい」です。昨年、90代で亡くなった詩人は、頭脳も感性も人一倍鋭かったようで、最後に綴った「いきるだけさ しぬまでは」には達観した清々しさを感じるのは私だけでしょうか。画像には丸っこい文字が並んでいて、何の衒いもない創作が垣間見れて、私もこんなふうに生きられたらいいなぁと思ってしまいます。加齢とともに素直な表現にいきつくのは私には理想です。私の場合は今も余計なものをいっぱい背負っているように感じていて、工房では創作の途中でも雑念に襲われています。詩の最後の文の一つ前には「あすはちかくてとおい」とありますが、時間が経てば翌日が確実にやってくるけれど、明日はどんなことがあるのだろうかと希望に満ちた靄をイメージしてみようと誘われているのかもしれません。彫刻作品の図録撮影が2週間後に迫っている私は、完成を急ぐあまり、「あすはちかくて すぐそこにある」と感じていて、明日に対するロマンなど持てない現状があります。焦らず休まず、自分の座右の銘をもう一度思い返しました。