Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

「塔と宇宙樹、聖なるランドスケープ」について
「宗教図像学入門」(中村圭志著 中公新書)の5つ目のパート「聖なる空間をレイアウトする」は4つの章から成り立っています。今回はそのうち後半の2つ「第20章 塔と宇宙樹」と「第21章 聖なるランドスケープ」を取り上げます。「塔はいかにも印象的であるし、ピラミッドから仏塔まで、カテドラルの尖塔からミナレットまで、聖性の象徴であることは間違いないように思われるのだが、それは教理的なものというよりも、宗教行事の式次第や祭壇のレイアウト、聖歌の印象的な節回しと同様の、典礼的な演出法に属する。宗教をメタな視点で横断的に眺めたときに、聖なる演出として塔が目をひくというわけである。~略~城塞などの塔には監視塔の役割もある。これと天を衝く高さという要素を掛け合わせると、人間界を監視する『神の眼』のピラミッドのイメージが生まれる。~略~近代において宗教社会から世俗社会に変貌を遂げた欧米社会では、搭状建築は(科学的・産業的・社会制度的な)進歩の象徴ともなった。~略~こうした象徴物は宗教原理主義者の格好のターゲットにもなる。21世紀になってすぐ、ニューヨークの貿易センタービルはイスラム過激派によって破壊された。ここにもバベルの塔に対する宗教的不信感が作用しているのかもしれない。」次に聖なるランドスケープ。「一般に中国思想においては陰と陽の対照が大きな意味をもっており、山水画の場合も同様だ。なお、谷が女性性を象徴するということには、老子の『道徳経』にある神秘の牝としての『谷神』のイメージも響いている。~略~東アジアの日本だが、神道そのものがアニミズム的色彩が強く、山、森、島、滝などに霊性を感じる伝統がある。それは密教によっても補強され、行者が山野を駆け巡る修験道という伝統も成立した。富士を竜脈ならぬカミそのものとして拝む富士参詣曼荼羅のような図像も生まれている。」私は日本のアニミズム的色彩に大変興味があって、さまざまなところに神が宿る伝統を喜ばしく思う一人です。両親の実家があった時は、正月の朝になると、庭の井戸や納屋、裏山の祠に小さく刻んだ餅を捧げていました。私にとっては聖なるランドスケープであったわけで、そこに棲み給う神々が自分を守護してくれていると子供心に信じていたのでした。