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「宗教図像学入門」読後感
「宗教図像学入門」(中村圭志著 中公新書)を読み終えました。私は特定宗教を信仰しているわけではないし、先祖が敬ってきた地域の菩提寺に墓地があるにも関わらず、その菩提寺の宗派である浄土宗にも関心があるとは言えません。私にとって宗教とは学問のひとつに過ぎないと思っていて、そうしたことで派生する宗教的文化には、実は前から興味がありました。彫刻の師匠がキリスト教に関わる作品を数多く作っていること、亡くなった叔父が哲学者で、無教会主義を唱えた内村鑑三の私淑者であったことなど、周囲にはキリスト教に纏わる環境がありましたが、それよりも20代の頃に住んだヨーロッパで壮麗なカトリック教会で見た過剰な装飾に圧倒されたことが、私を宗教文化に近づけた要因であろうと思っています。本書を読んだ感想として、宗教のもつ根源的な問いかけに私の心は刺さりました。「宗教はすべて自己の根拠を問うものだという考え方がある(今・ここにいる私の究極の始原は何か?究極の原因は何か?究極の拠り所は何か?)。」という文章に造形によって自己表現を究めようとしている私には、宗教を芸術に置き換えれば常に自分が考えていることの合致を見るからです。精神的な捉えとしてみれば、宗教と芸術は似ているのかもしれません。本書は図像学を扱っているので、世界にある多種多様な宗教に対し、信仰や感情とは一定な距離を持って冷静に客観視していることに私は好感を持ちました。私も前述した通り、宗教を学問として扱いたい立場です。本書が特定宗教に深く入り込まず、カタログ的な図像紹介に努めているため、私はもう少しこれを知りたいと思ったこともあって、それは別の機会を持とうと考えています。本書のおわりに書かれている著者の文章を引用いたします。「宗教とは論理と感性が絡み合う形で成立して文化であることをイメージトリップを通じて理解していただくのが本書の目的だ。章を進めるごとに現れる宗教的視覚表現の新たな地平に、感性的論理の多次元性を看取していただけたとすれば、本書の目的は達成されたことになる。」さて、本書はあくまでも入門書なので、ここから学問としての宗教に入っていくスタートラインとも考えられ、差し詰め私は身近な宗教的なものから取り上げていこうと思っています。