Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

「発掘~六蹟~」に関する覚書
今年の個展で発表する陶彫による集合彫刻のタイトルを「発掘~六蹟~」としました。私はタイトルにあまり凝るほうではありませんが、「発掘シリーズ」では似たタイトルが多くなる傾向があるので、新作の造形的な特徴を言語化するようにしています。今回の作品は六点のブロックで構成している集合彫刻なので、六という数字をタイトルに入れました。六点のブロックはそれぞれ4点の部品で形成しています。その形成部品のうちの一つは厚板材を砂マチエールで固めたもので、崩れかけた状態を作りました。「六蹟」というタイトルについて、予めAIに「六蹟」について聞いています。AIによると「六蹟」は中国の六人の書家による名跡の総称であるけれど、一般的な日本語の資料に見当たらず、また日本では造語である場合もあるといい、これは確かに私の造語なので、私は本作を「六蹟」というタイトルでいこうと決めました。本作は画廊内の展示空間に点在させていくため、ある程度の広さを占有してしまいます。これは空間演出であり、庭園のように複数の個体で表現する世界です。これに辿り着いた要因は、20代の頃、5年間の滞欧生活を引き揚げる際に、エーゲ海に広がるギリシャ・トルコの都市遺構を見た印象が原点になっています。広漠とした大地から掘り出された都市空間の在り様に私は夢中になり、空間には空に向かうプラスの空間があるだけではなく、地中に埋められたマイナスの空間があると認識しました。嘗ては栄華を極めた古代都市は土砂に埋まり、その一部が現われ出ているのを見て、隠されたマイナスの空間に思いを馳せました。その状況を現代彫刻の形式を借りて、何とか表せないかを考えるに至り、「発掘シリーズ」が始まりました。余談になりますが、空間の中で個体と個体が引き合う見えない糸に、音が響き合い、音の余韻に浸り、いずれ訪れる沈黙に意味を持たせる現代音楽に似ているのではないかと私は勝手に思っています。