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ウィーン分離派と邦人建築家
ウィーン分離派は、自分にとってどのようなものかを考えてみると、予備知識もないままウィーンに住んで初めて知った革新的な芸術運動で、その美的なるものに感動を覚えたのが分離派でした。現代は芸術の捉え方、表現方法も多様化して、美的なるものの存在が問われるような前衛がありますが、それから考えればウィーン分離派は古典的な美しさが確かに存在していると言ってもよいと思います。当時、日本にも分離派は紹介されて、とくに村野藤吾や吉田五十八、堀口捨己といった日本の近代建築を代表する人々が影響を受けているとは、帰国するまでまったく知りませんでした。日本の建築界においてウィーン分離派はどのような受け入れられ方をしたのか興味は尽きません。自分の印象としては、分離派は完全には前衛になりえないところがあって、過去の遺産を否定していないと思うのです。むしろ過去の様式を当時の生活様式に合うようにアレンジしているように感じます。邦人建築家も日本の古い家屋を生活スタイルに合わせたカタチにアレンジしてみせたのではないでしょうか。