2007.03.14
表題の本は紀行作家みやこうせいさんが書いたもので、詩人のまどみちおさんとみやさんが東京青山のギャラリーで2人展を開催していた時に購入しました。「名前なんてつまらないサインはやめて、サインではないサインを」と無礼な要求をしたら、さすがみやさんは心得たもので、「地球はあなたの心の一地方」とサラリと書いてくれました。この本を読んでいると、まるでみやさんと会話しているような錯覚に陥ります。エスプリに富んだジョークや世界情勢まで話題豊富なみやさんが目前にいるようです。みやさんのフットワークの軽さ、行動力、コトバの魔術にスルスルと魅かれていきます。とりわけ東欧の寒村の情景描写では、かつてみやさんに案内された場所での匂いや踏みしめた土までも甦ってくるようです。難解な書籍を携えて旅しているみやさんをこの本で初めて知って、当時は脇でくだらない話しかしなかった自分を恥じるばかりです。本に登場しない愚かな人々が(自分も含めて)たくさんいることを、本を読まれている方々につけ加えておきます。でないと、みやさんと旅で出会う人々はみなインテリかと誤解されます。ルーマニアで酒にまかせてバカ騒ぎしたことも一度や二度ではありません。