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ドイツ映画「カリガリ博士の箱」
20数年前オーストリア滞在中に見た映画に「Das Kabinet des Dr.Caligari」(和訳:カリガリ博士の箱)があります。ドイツ表現主義の有名な映画で、渡欧前から見たかった映画のひとつでした。当時ウィーンの下宿には小さな白黒テレビがありました。自分が譲り受けたものでしたが、もう記憶が定かではありません。「カリガリ博士の箱」はこのテレビから流れたもので、表現主義の絵画を思わせる画面を食い入るように見ていました。ストーリーはドイツ語の力が乏しかった自分にはよくわからないところがありましたが、精神病院に入院中の青年が夢想した出来事としてカリガリ博士と相棒の夢遊病者が登場する場面が描かれていました。全編を通じて怪奇な感じにまとめてあり、遠近法を無視したギクシャクした背景が不思議な心理状態を表していました。日本ではマニアックな映画と捉えがちですが、映像表現の様々な実験が盛り込まれていて、現在にも通じるものがあるように思います。