Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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ある日の幻影
それは夢だったのか、実際に見たものだったのか、遠い記憶を啄ばむうちにふとした情景が眼に浮かび、しばらくそれに囚われてしまったことがありました。砦のように高くそびえる壁の上に街が築かれていて、日が沈む頃になると頂上にある街にちらほら灯がともる情景です。壁と思われた平面的な造形は近づいてみると、あちこちに突起があり、たとえば階段であったり、小さく刳り貫かれた穴のような窓があるのがわかりました。先日のブログに「壁」というイメージについて書きましたが、それがどこから構想として出てきたものか自分でも判然としません。記憶を辿れば、エーゲ海に浮かぶギリシャの島々にそんな切り立った壁の上にあった街が思い浮かべることができます。富山県八尾の小さな町にもそんな風景がありました。そこで見てきた記憶を頭の中で浄化して造形作品にまとめてみたいと思っています。ある日の幻影を、記憶の深淵を覗くように揺り起こし、架空な風景をデッサンしていくところから始めます。                     Yutaka Aihara.com