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ロシア・アヴァンギャルド
自分の学生時代はロシアは旧ソビエト連邦で社会主義体制の閉塞感の強い国でした。ソ連を中心とする東欧諸国はどれも社会主義国家で、ハンガリーやルーマニア、チェコスロバキア、ユーゴスラビアに出かける際にビザを取得しなければなりませんでした。それでもオーストリアに住んでいた頃に、よくハンガリーやルーマニアに出かけました。当時ポーランドや東ドイツに行けなかったのは残念でしたが、オーストリアにいても遠くの国というイメージがありました。自分はチェルノブイリ原発事故のほんの少し前に帰国したので、惨状はわからずじまいですが、そういう事故があると、自分がいたオーストリアとソ連は地理的には近い国なんだという意識がもてました。美術的には当時のソ連は社会主義レアリスムばかりで、ロシア・アヴァンギャルドが存在した実感はありませんでした。ロシア・アヴァンギャルドのことを知ったのは帰国してからの話で、日本の書籍を通じてロシアの革新的な芸術運動のことを知りえたのでした。考えてみればシャガールにしろカンディンスキーにしろロシアを亡命した芸術家たちで、彼らが生まれ育った風土に新しい美の息吹があっても不思議ではありません。しかも彼らはどこかにロシアの血を残した作品を作り、それが美術史の中で近代から現代に通じる役割を果たしているのです。ロシア・アヴァンギャルドについて自分なりにもう少し拘ってみたい欲求に駆られているところです。