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西洋の没落「数の意味について」
「西洋の没落」(O.シュペングラー著 村松正俊訳 五月書房)を通勤途中に読んでいます。本書は専門書なので、通勤で眠くなると文面を目で追うばかりで内容が頭に入りません。それでも文章をとつおいつ繰り返しながら理解に努めています。今回は本書の第一章となる「数の意味について」を読み終えたので、まとめをしておこうと思います。まとめと言っても一文が持つ深遠なる語彙の数々やその積み重ねによる多角的考察は、とても簡単にまとめられるものではなく、自分が感受した部分を列挙してまとめに変えようと思います。「彫刻家、画家、音楽家の形式感覚は、本質的には数学的である。17世紀の幾何学的解析と投影幾何学とのなかには、一つの無限の世界の知性化された同じ秩序が現れている。この秩序こそ数字付き低音という技巧から発達した和声(すなわち音空間の幾何学)によって同時代の音楽を、また西洋にだけ知られていた遠近法(すなわち像空間の感じられた幾何学)の原理によってその姉妹芸術である油絵をそれぞれ活気づけ、感動させ、それに這入りこんだ秩序である。」「作図は、すべて視覚的に与えられたものを改作し、演算はすべてそれを溶解することによって、前者は外貌を肯定し、後者はそれを否定する。こうしてこの二種の数学的な取り扱いのなかに、より広い対立が現れてくる。すなわちギリシャ・ローマ的な小さなことの数学は、具体的な個々の場合を考察し、確定した問題を計算し、ただ一度だけの作図をおこなう。無限なものの数学は、形式的な可能性のすべての種類、関数の群、演算、方程式、曲線の取り扱い、そのうえ、一般的に、何かの結果を考慮しないで、その経過を考慮するのである。」