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「イギリスのシュルレアリスム」について
「シュルレアリスムのために」(瀧口修造著 せりか書房)はフランス発祥のシュルレアリスムについて述べたものですが、イギリスでもその動きがありました。「イギリスのシュルレアリスム」について、気に留めた箇所をピックアップしていきます。イギリスには気鋭の評論家ハーバード・リードがいて、ロンドンで開催された「国際超現実主義展覧会」について講演をしています。「注目すべきことは、この展覧会の講演会でのハーバード・リードが、完全にシュルレアリストの立場をとっていることである。『芸術の意味』『今日の芸術』『芸術と工業』などの著者はまったく面目を一新した趣きがあるが、今後の仕事にいっそうの活躍を期待したいと思う。彼は二回にわたる講演で、イギリスにおけるあらゆる因襲的観念を批判し、シュルレアリスムの位置を確立しようとしている。~略~『人間の性格の分離は不定のものであり、またこの性格の選択された一部分にのみもとづいた芸術形式もまた不定である。古典主義のなかに見出される知性の芸術、印象主義の眼の芸術、表現主義の感情の芸術などーすべてこれらは芸術の部分的な不完全な形態であり、理想的先入観の種々な形式にほかならない。もしわれわれの目的がレアリテにあるとすれば、そこに人間的体験のあらゆる諸相を包含しなければならないのであって、夢や白昼夢、狂気、幻覚などに現われる無意識生活の諸要素を排除してはならない。』内部世界と外部世界との諸問題については、ブルトンたちの数年来主張してきた論拠に一致点を求めようとしている。~略~『シュルレアリスムの庭園のすべてがつねに美しいものではない。この不完全と崩壊の時代に、その芸術がその様式において単一であり、内容において肯定的であることは不可能である。創造の前には破壊がある。シュルレアリスムが嘲笑やファースの要素を帯びるとすればこの理由からである。』今回はここまでにします。