Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

12‘図録印刷完成の日
今日、図録と案内状が届きました。作品制作だけではなく図録や案内状はカメラマンとの協働作業なので、図録では自分の作品が自分のものでないようなヨソ行きの顔をしています。これは格別に楽しいと感じます。図録の重要性は、前にNOTE(ブログ)に書いたことがありますが、自分の作品は組み立てを必要とする集合彫刻なので、展覧会しか作品を見せられないことや、大きな作品は自分一人では組み立てられないこと等あって、完成作品の確認は図録でしか出来ないのです。ただし、図録はデジタル画像としての演出をしています。これは単なる記録写真ではありません。意図を持ったデジタル作品なのです。出来上がったばかりの図録を見て思い出すことがあります。30年前にオーストリアで暮らしていた頃、ウィーン国立美術アカデミーのハウズナー教室の学生が、自作の幻想絵画を描いては撮影し、また描いては撮影する行為を繰り返していました。彼はオリジナルな絵画よりも撮影された画像を気にしていて、画像をよく見せるため、どこに筆入れをするかを検討していました。本末転倒な制作ぶりに自分は面喰いましたが、図録や案内状は多くの人の目に触れるため本物以上に大切なんだと彼は主張していました。それもわかる気がしますが、当時同じ20代だった自分は彼の商業戦略に隔たりを感じていました。現在の自分の図録や案内状を見ると、事情は多少違いますが、同じような戦略で作っていることに改めて気がつきました。ただし、自分はオリジナル作品あっての図録と考えます。図録をよく見せるためオリジナル作品を細工することはしていません。