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夭折の天才ラファエロ
ルネサンスの三大巨匠と言えば、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロです。3人3様の名作を残していますが、ダ・ヴィンチが67歳で没し、ミケランジェロが88歳で没しています。それを考えるとラファエロが37歳没という年齢で残した名作を挙げてみても、奇跡としか言いようのない事実が浮かび上がってきます。3人とも天才の名声を欲しい儘にしていますが、とりわけ夭折したラファエロは天才の中の天才と言えそうです。先日、東京上野の国立西洋美術館で開催されている「ラファエロ展」に行って、その至高の名作に触れてきました。そこで目に留まった名作の一つは「聖家族と仔羊」という小品です。年老いた父ヨセフと聖母マリア、そして仔羊に跨った幼児キリストが安定した構図で綿密に描かれていて、その情景から無意識に物語を紡いでいる自分に気づきました。というのも人物一人ひとりのキャラクターが浮かんでくるほど、自分はその表現の魔力に憑かれてしまいました。暫し立ち止まった後、当時ラファエロに影響を与えていたダ・ヴィンチにも考えが及びました。若いラファエロはダ・ヴィンチについて相当研究していると思われるところが随所に見られたからです。イタリア・ルネサンスはどんな時代だったのでしょうか。歴史に疎い自分には時代のイメージが掴めません。眼前の壁に掛けられたラファエロの絵画を見て、自分は浅薄な知識を総動員してルネサンス絵画に迫る試みをしながら会場を巡っていました。