2013.06.06
先日、目黒区立美術館で開催中の「佐脇健一 未来の記憶」展に行ってきました。まず、鉄やブロンズに鋳造された近現代建築を模した雛型が目に飛び込んできました。その重量感、しかも荒廃し錆びついた素材の存在感に圧倒されました。雛型からイメージする広大な風景。それはボックスに閉じ込めた小品にも共通するコンセプトで、撮影された青空を背景にポツンと建つ工場のような廃墟が鋳造で作られていました。それはどこかしら悲壮感が漂う孤独な現代都市の行きつくところを表しているようでした。作者本人が撮影した軍艦島の風化された建造物も、作品制作の動機を担っているようで、滅びゆく物質を提示することによって、あまりにも利便性を追求する現代文明の警鐘ともとれる思索を感じました。自分の作品は陶を素材にしているので、表し方は異なりますが、似通ったコンセプトがあるので、「佐脇健一 未来の記憶」展は大変参考になりました。