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「渦巻紋と輪廻転生」読後感
「渦巻紋と輪廻転生」(藤田英夫著 雄山閣)を読み終えました。本書は分厚い専門書ではなく、私にも充分理解できるプロトタイプで、しかも刺激的な論考ばかりだったので、NOTE(ブログ)に引用文を多用してしまいました。まだまだ注目したい文章があったのですが、次に読もうとしている書籍にも通じるものがあるので、ここで「渦巻紋と輪廻転生」はまとめにしたいと思います。「海洋水運国であった日本は、このように北から南まで広範囲な自由交易が縄紋社会の経済を充分にうるおし、縄紋の豊かな社会基盤を支え、エネルギッシュな前衛芸術土器の製作活動を可能にしていたことを忘れてはならない。このように活発な自由交易がなければ、前衛的芸術土器文化も土偶文化も、次世代の装飾古墳も決して生まれなかったのである。単なる狩猟採取だけで食いつなぐ原始生活をしていただけならば、土器は日常の粗末な飲食用のものしか作らず、縄紋文明とも言えるほどの前衛的土器は決して生まれなかったであろうことは、弥生時代の土器や世界各地の土器を見れば分かる。」ここで自分が注目したのは広範囲な自由交易です。かつて訪れた青森県の三内丸山遺跡で見た大型竪穴住居跡は何を物語っているのか、本書によれば交易品の貯蔵庫であり、渡来人の宿泊施設であったのではないかとしています。考古学は仮説を立て、調査を行い、立証するモノを集め、結論を導き出すという地道な過程を経ますが、私たち門外漢にも空想する余地が与えられて、とりわけ芸術分野になると自分の興味関心は最高潮に達してしまいます。今後さらに関連する書籍を求めていきたいと思います。