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「ボイスから始まる」読後感
「ボイスから始まる」(菅原教夫著 五柳書院)を読み終えました。ヨーゼフ・ボイスの生涯に亘る活動を要領よくまとめられている本書は、自分にとってボイスというカリスマを知る良い契機となりました。遅ればせながら自分もボイスの存在の大きさをようやく認識しました。「美術家として出発したボイスは、やがて社会彫刻の名の下に社会の改革を唱えるようになった。けれどもそれ以前の制作から、彼にはシュナイダーの霊学に根ざしたメシアの思想が兆していた。僕にはボイスのような巨人の思想をひとつにまとめる意図はさらさらない。むしろそれぞれを開放状態にしておきたい。けれども、ボイスは社会改革のなかにメシア思想を見、メシア思想のなかに社会改革を見ていたとだけは言っておきたい。二つはボイスという人間の、それぞれ心臓であり、肺なのであり、いずれが欠けてもボイスという統一体は存在しえないはずだ。」「社会彫刻を実践するうえで、ボイスは狭い意味での芸術を投げ捨てた。そして『全ての人間は芸術家である』という意味での芸術、すなわち『拡張された芸術概念』を唱えた。けれども、彼は芸術固有の直感、本能の働きこそが、理性主義の世界の陥穽を脱し、人間性を高めるうえで最高の武器となることを他方で強調した。『芸術』の放棄と『芸術』への固執ー。ここには矛盾ではなくして、二つの意味が働く場の違いを見るべきである。」以上2つの引用は、ボイスのボイスたる所以をまとめた箇所です。自分にとって今ひとつしっくりしないのは、ボイスが影響を受けたシュタイナーやニーチェの思想を自分自身よく知らないことです。近いうちにこうした思想をも読み込んでいきたいと考えています。まだ、ヨーゼフ・ボイスに関わり続けていこうと思っています。次の読書もボイス関連の書籍を選びました。