Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

身を削るとは何か?
陶彫による作品第1号が「発掘~鳥瞰~」でした。当時は陶土の混合実験をやっていて、イメージに相応しい肌合いになる焼き締め陶土を作っていました。テストピースは上手くいったものの、混合した陶土の強度がどのくらいのものか分からず、立体として立ち上げることに消極的になり、そこで考えたのがレリーフによる表現でした。屏風にして大地に広がる遺跡群を表したのもそんな理由からです。次作から少しずつ突き出るような立体にしていきましたが、焼成のたびに窯の中で歪んだり崩れたりしないか常に不安がありました。その不安は今も続いていますが、20年以上もやっていれば割れるかどうか勘が働くこともあります。自分が求めるイメージを具現化した作品は、身を削るような思いで生まれました。「発掘~鳥瞰~」を制作中は食欲がなく、明けても暮れても陶彫の肌合いが頭から離れなかったのを今も覚えています。結果自分は10キロ以上も痩せてしまい、スリムになって周囲を驚かせたことも覚えています。その後に続く「発掘シリーズ」や「構築シリーズ」でも微妙に痩せたり太ったりの繰り返しですが、食欲がなくなるのも病気ではないため、すぐ回復してリバウンドをしてしまうのです。創作活動に妙なストレスはないので、身を削るくらいのことはあってもいいのかなぁと感じています。