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週末 叔父のコンサート
家内の叔父である声楽家下野昇は82歳になります。まだ家内と知り合う前に、80歳になる日本人声楽家の歌声をどこかで聴いたことがありました。声量に乏しく年齢を重ねるとこうなるのかと思ったことがありましたが、今ここにいる叔父はまるで違う人種で、堂々とした体躯を持ち、顔の色艶も良く、ホール全体に響きわたる絶大な声量を放つ、日本人離れしたテノール歌手と言っても過言ではありません。家内も私も父を82歳で亡くしていますが、同い年になった叔父の輝くばかりの歌声はどこからくるものでしょうか。親戚の贔屓はあっても、これはどう考えても叔父の自制と鍛錬の賜ではないかと思っています。東京町田にある和光大学ポプリホール鶴川で、13時半から「福成紀美子&下野昇ジョイフルコンサート」があって、家内と行って来ました。昨年、東京上野の文化会館小ホールでの傘寿記念リサイタルが叔父の最後の歌唱と思っていたので、今回は驚きでした。カンツォーネ、シャンソン、ミュージカルの3部構成で、ソプラノ歌手の福成さんと息のぴったり合ったコンサートは、鑑賞者を恍惚とさせるのに充分な楽想を感じさせ、心から音楽を楽しむことが出来ました。これは音楽にも美術にも言えることですが、作る側が気楽に楽しんでいるようでは、鑑賞する側は生ぬるくて納得できないのです。日常を非日常に変えるには、常軌を逸して表現していかないと心底楽しめる状態にはならず、わざわざ遠方より鑑賞者を呼ぶからには、来てよかったと思わせるレベルに達しないと、コンサートや個展をやる意味がないと私は思っています。そういう意味で叔父はいつも全力で挑戦し、私に向うべき方向を指し示してくれていると感じています。私も生涯が果てるまで全力投球でいきます。因みに私は今朝7時に工房に行き、土練りと窯入れをしていました。叔父のコンサートがあったために、制作を早朝に前倒してやっていました。今日は元気をもらえた一日でした。