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映画「ペギー・グッゲンハイム」雑感
先日、常連になっている横浜のミニシアターに行って「ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪」を観てきました。伯父にあたるソロモンが経営するアメリカのグッゲンハイム美術館やイタリアにあるペギーの収集品を展示した邸宅美術館は、世界的によく知られた存在ですが、私はまだ行ったことがありません。図録によると「20世紀を代表するアートコレクションをたった一人で築き上げ、華麗な恋愛遍歴とともに、多くの伝説を生んだ女性の痛快な一生。」とあって、ペギー・グッゲンハイムの生涯は波乱万丈なものだったのかなぁと思い至っています。この映画で私自身が楽しかったのは、現代美術を綺羅星の如く彩った芸術家たちが、ペギーと関係を持ったり、生活の援助を受けたりしていたことで、かなり身近に感じられたことでした。デュシャンを師と仰ぎ、イケメンなエルンストと結婚し、ポロックを発掘し、その他大勢の芸術家たちを擁護したペギーでしたが、ミューズと呼ぶには余りにも骨太な女性だったようです。最後にヴリーランド監督のインタビューから引用いたします。「ペギーは19世紀にニューヨークに移住したドイツ・バイエルン州の伝統的なユダヤ人家庭で育ちました。彼らの暮らしぶりはロックフェラー家のようでした。ペギーは若い頃から、自分の周りに余りに多くの『しきたり』があると感じていて、それを破ってしまいたいと思っていました。~略~実際、彼女は恵まれた環境の中にいましたが、出会う多くのアーティストたちを援助したことは驚くべきことです。それは彼女でしか成し得なかったことでした。ペギーは自らの願望をかなえるため、一歩先の世界を常に考えていたように思えます。そして、アートこそが彼女の人生を動かす純然たる動機だったのです。」