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「アフタヌーン・インタヴューズ」を読み始める
フランス生まれの現代アーティストであるマルセル・デュシャンは芸術に対する見方や考え方を根底から変革した巨匠です。変革者としてはピカソに匹敵するかもしれず、現代社会の中にさまざまなカタチでアートが取り入れられている現状には、デュシャンの影響も少なからずあろうかと思います。工業化された既製品を美術品として扱い、展覧会においてそれに題名をつけて展示したことは、美術関係者なら誰もが知る有名な事件ですが、それだけではないデュシャンの世界観を私は常々知りたいと願っていました。以前に東京国立博物館でマルセル・デュシャンの大掛かりな展覧会があって、デュシャンの生涯を概観する機会を持てたことは幸運でした。その時にギャラリーショップで購入したのが本書「アフタヌーン・インタヴューズ」(マルセル・デュシャン カルヴィン・トムキンズ聞き手 中野勉訳 河出書房新社)で、デュシャンがリラックスしてインタヴューされている様子が伺えます。今までデュシャンの書いたものや発したコトバを聞いていると、意味が判読できないものや矛盾も散見されます。そうしたことを全て含めてマルセル・デュシャンの全貌かなぁと思います。デュシャン没後に評論家がさらに深く世界観を洞察したものが出版されていますが、本書の方が生の作家に触れることが出来るのではないかと私は考えていて、今から読むのが楽しみになっています。現代の美術家もデュシャンの見方や考え方を推し進めている人が結構いると考えています。現代彫刻の中にもそうした考え方が入って来ていると感じます。改めて眼から鱗になることも期待しています。