Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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新宿の「モンドリアン展」
先日、見に行った東京新宿のSOMPO美術館で開催されていた「モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて」の詳しい感想を述べさせていただきます。展覧会は既に終わっていて、広報を兼ねてNOTE(ブログ)にアップする意図は外れてしまい、そこは御容赦願えればと思いますが、久しぶりに見たモンドリアンの世界観を伝えたくて書くことにしました。画家の本名はピーテル・コルネリス・モンドリアンでオランダ人です。父はアマチュア画家でプロテスタント系学校の校長を務めていたそうで、私は親近感を覚えました。初期の風景画からあの簡潔なスタイルの抽象絵画に発展した要素はどこにあったのか、私は眼を凝らしながら見て廻り、風景画にあった地平線や水平線がその要素と見えなくもないと思っていましたが、図録でこんな文章を発見しました。「モンドリアンの風景を通覧するとき、自然的描写、神智学的スピリチュアリズム、あるいは点描風など、描画においての様式の変化は時代時代にあれども、やはり目につくのは、強固なまでの地平ないし水平への意識であろう。」(鈴木俊晴著)やはり、そうかと思って、私が感じた単なる思いつきではない抽象化を、神智学の感化を受けて求めた純粋な絵画であることが今回の展覧会で再認識できました。オランダから仏のパリに出て、さらに渡米したモンドリアンが、自らのアトリエも絵画的構成要素に応じたものに室内を変えたこともあり、制作する環境に画家が自己表現を投影すべく拘っていたことが分かりました。「より重要なことは、モンドリアンのアトリエの内装が、気を配って工夫し適切に整えられると、もはや建築内の応用というだけではなく、一つの空間の完全な変容になり得るという事実が明らかになったことである。私的空間(アトリエはそもそもそうであるが)が公的空間として提示されるという条件のもと、私的空間は特別な、ほとんど神聖な意義を帯びるのである。このアトリエは、あたかも人が絵画の中で生活できることを立証するために存在するようである。このことで、モンドリアンは、今日までのデザイナーや建築家の中での特別な地位にいることができるのである。」(ベンノ・テンペル著)モンドリアンが求めた純粋な絵画は、全てを削ぎ落とした 完全なる抽象であり、その人工的な美は今も色褪せることがないと私は実感しました。