Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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8月RECORDは「戯印に遊ぶ」
RECORDは一日1点ずつポストカード大の平面作品を作っていく総称で、10年以上も続いています。一日1点完成するというのがなかなか厳しい課題で、このところは一日1点の下書きだけで終わっているため、今月からは完成を目指してやっているところです。同時に過去の作品も下書きに手を入れて、何とか完成させたいと思っています。RECORDは毎月テーマを決めて作っていて、5日間で展開する方法を取っています。5日間の展開というのは、私は長く二足の草鞋生活を送っていて、制作時間がなかったために編み出した方法でしたが、4月から創作活動一本になり、そろそろこの方法も見直していこうかなと思っています。それでも今年いっぱいは今まで通りの制作をしていくつもりでいます。さて、今月のテーマを「戯印に遊ぶ」にしました。戯印とは私の造語です。私は陶彫作品にその年に作成した印を押して制作年代を明らかにしています。印は氏名を彫っていますが、篆刻に限らず自由にデザインをしています。つまり戯言の印章です。文字は古代文字であれ現代文字であれ、意味があって初めて通用するもので、歴史的な内容の記録として保存されています。意味が分からなければ、単純に不可思議な文様であり、謎を孕んだ抽象世界とも言えます。パウル・クレーの絵画に登場する文様は、そんな抽象世界に鑑賞者を誘う記号なのかもしれません。意味を持つ持たないに関わらず、記号として美しいと感じられるのは造形美術以外にないのではないかと思うところです。未知の象形文字を見れば、学者はその意味の究明に努めたいと願うでしょう。美術的には刻印された部分とそうでない部分のバランスを見て、その構成の妙に感心するのです。8月のRECORDは戯印として抽象世界に遊び、その構成によって感覚を広げたいと考えています。