Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

8月最後の週末
8月最後の日曜日になりました。毎回工房に来ている美大受験生は、いよいよ夏休みが終わって高校が始まるため、夏休み最後の日曜日に溜め込んだ課題制作に精を出していました。新型コロナウイルス感染拡大がなければ新学期はもう始まっていたのかもしれませんが、どこにも行けない夏休みだったために、彼女は長く休んでも楽しい気分にはなっていないようでした。私も校長職にあった頃は、夏休みの終わりにはちょっぴり寂しい気分になったものですが、退職した今はそんな気分に浸れない自分がいます。寧ろ生徒たちの休み明けのメンタルを心配しないだけ、現在の方が気が楽になっています。8月最後の週末はまだまだ暑さが続いていて、今日も午前と午後でシャツと頭に巻いた手ぬぐいを替えました。制作工程としては大きな陶彫部品に彫り込み加飾を施している作業なので、土練りのような身体を酷使するものではありませんが、それでも汗が滴ってくるのは、精神的な面で緊張しているのだろうと思っています。彫り込み加飾は楽しい作業ですが、陶彫部品ひとつひとつの雰囲気を作っていくものなので、決して機械的な作業ではありません。陶土の面に彫り込みを入れていくと立体が強調されることもあって、全体を見ながら彫り込むカタチを決めていくのです。陶土の厚さを気にしながら、どのくらいの深さまで削り取っていくのか、常に気を留めています。作業台の前にずっと座って作業をしていますが、身体の動きがなくても汗が流れ落ちていくのです。朝から作業を始めて、夕方の3時になると疲れが出て、次回に回そうと道具を仕舞い始めます。道具は水道で土を落とし、また丁寧に拭取って所定の場所に仕舞います。大学でも彫刻をやっていたので道具の扱いは教わりましたが、それよりも祖父が大工、父が造園業をやっていたので、道具に関しては祖父や父からの暗黙の伝授があったのでした。道具を放りっぱなしにする発想が最初から私にはありませんでした。