Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 志望動機について思うこと
日曜日になり、いつものように美大受験生が2人工房にやって来て、それぞれの課題に取り組んでいました。高3で受験を控えた彼女が染織デザインをやりたい志望理由を文章にまとめていたのを傍らで見ていて、私も当時を振り返っていました。私は工業デザインをやりたくて美術系の学校を受験しようとしていたのでしたが、当時の自分は色彩の扱いが上手くいかず、受験科目に平面構成のない彫刻科を選んだのでした。もちろんそれだけの理由ではなく、祖父が大工、父が造園を生業にしていたことも少なからず影響していて、彫刻の素材が自宅の周囲に転がっていたこともありました。また彫刻で食べられないなら家業を継げばいいかなぁと安易に考えてもいました。そう考えると私の志望動機は些細なことで決まったと言えます。家業ではなく教職員の採用試験に臨んだ時も、彫刻家としてやっていけないから教員にでもなるかなぁと、この時も安易に思っていたのでしたが、さすがにこれを面接で言ったら受からないだろうと思い、もっともらしいことをしたたかに述べて、まんまと正規の美術科教員になってしまったのでした。正直に言うと、私は彫刻家でも教員でもその地位に就いてから真剣になり、その本質を知り、目前のことを何とか解決すべく無我夢中で取り組んできました。その後管理職になれたことは驚きでしたが、その時は昔からあった不純な動機はすっかりなくなって、横浜の公立学校のために誠意を尽くそうと思っていました。人間は変わるものだなぁと自分自身を見て感慨深いものに浸っています。私の志望動機は立派なものではなかったとしても、芯がブレない、逃げないことが私の強みであるのかもしれません。現在作っている彫刻も課題を抱えていますが、今までの自分を乗り越えようとあれこれ考えています。高校生に志望理由をアドバイスしていて、自分のことを振り返ったら気恥ずかしくもなりましたが、きちんとした志望理由を考えるように彼女に伝えました。それをお前が言うかと天の声も聞こえましたが…。