Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「世界甲虫大図鑑」について
先日、東京上野にある国立科学博物館に行った折、ギャラリーショップに立ち寄り、「世界甲虫大図鑑」(パトリス・ブシャー総編集 東京書籍)を購入してきました。かなり重い書籍で、リュックに入れて背負って帰りました。私はとりわけ虫が好きというわけではなく、虫の種類によっては苦手なものもありますが、創作上のカタチのアイデアを虫の構造からいただくことがあります。陶彫部品に虫のような形態を取り入れているものがあり、とくに甲虫類は参考になります。図鑑の解説の中から気に留めた文章を引用いたします。「甲虫目に含まれる昆虫を甲虫といい、現在約40万種が記載されている。地球上で最も多様で重要な動物群のひとつである。~略~成長著しい生体模倣科学(バイオミティクス)の分野では、近年、甲虫の体の構造や機能から着想を得て、玉虫色の車用塗料や繰り返し脱着できる面ファスナー、紙幣の偽造防止技術など新素材や新製品が開発されている。」約40万種ということは、未だ全部の種類が発見できておらず、誰にでも新種発見の機会が与えられているということでしょうか。そもそも甲虫とはどんな特徴があるのか、これも図録の解説より引用いたします。「甲虫にとりわけ特徴的な適応形態は、咀嚼型の口器、発音器としてはたらく硬くなった上翅、上翅の下に縦方向に織り畳まれた下翅、そして完全変態である。完全変態をする昆虫は卵、幼虫、蛹から成虫という、まったく異なる4つの発育段階を経る。幼虫と成虫はしばしば習性も生息地も異なり、まるで別々の種がそれぞれの環境の中で生活しているようである。」甲虫の一生は、別の生命が乗り移って変容していくような按配で、甲虫類の導入部分だけでも興味関心が尽きません。ただし、私は昆虫学者になるほど虫好きではないので、甲虫の形態を彫刻作りの参考にする程度に留めたいと思います。ただ、身近にこんなにも多種多様な生命体が存在していることを知るべきで、とくに科学の分野では虫から学ぶことが多いのではないか、たとえばロボット工学やら新素材開発にも生かせるような研究が今後益々進んでいくように思われます。小さな虫と言えども決して侮れない凄さを感じつつ、「世界甲虫大図鑑」を眺めています。