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映画「ファンタスティック・プラネット」雑感
昨日は工房での作業の後で、横浜の中心街にあるミニシアターに映画「ファンタスティック・プラネット」を観に行きました。本作は1973年に作られたアニメーションで、今を遡ること48年前になります。当時の私はまだ高校生で、その頃にこんな芸術性に優れたアニメーションがフランスと旧チェコスロバキアの合作映画として作られていたことに驚きを隠せませんでした。またこんな映画が上映される機会はミニシアターだからこそ出来るもので、エンターティメント映画とは違う趣向に、私の感覚は刺激を覚えたのでした。本作はシュールリアリスム絵画そのものであり、どちらかと言えばシュールリアリスムより古い初期フランドルの画家ヒエロニムス・ボスの世界観に近いものを感じました。その奇抜で独創的なデザイン性と不可思議な物語に、暫し我を忘れました。CGでアニメーションを制作している最近のものはどこか類型的で、滑らかな動画ではあるけれど、心に引っ掛かるものが足りないと思っていた矢先だったので、本作に流れる朴訥で圧倒的な美的感性が私を捉えたのかもしれません。内容はどこかの惑星の話です。青い肌に赤い目をした巨人族ドラーグと虐げられている人類オム族の種の存続をかけた闘いを描いていて、植物的な形態を持つ兵器が登場したり、集団としての連繋や会議の場面も描かれていて、現代にも通じる要素が取り入れられていました。パンフレットにこんな文章が載っていました。「リアルよりも空想の凄さに重きが置かれています。出てくるシュールなマシーンやクリーチャー。それにストーリー自体がブッ飛んでいますが、現代に於いては決して空想で片付けられない予言的メッセージも感じます。」(みうらじゅん著)