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「大自然の超越的な存在との合一」のまとめ
「仮面ーそのパワーとメッセージ」(佐原真監修 勝又洋子編 里文出版)の「大自然の超越的な存在との合一」をまとめます。ここではパプア・ニューギニアの仮面文化を扱います。「幻想的でダイナミックな造形をみせる南太平洋の仮面は多彩で、地域や民族によって独自の様式を示す。しかし南太平洋地域のどの民族も仮面をもつというわけではない。仮面を伝えるのは、南太平洋の南西部に位置するメラネシアだけである。~略~流域の広大な湿地帯には、セピック河とその支流、またその支流が、地図でみると網目状に広がり、熱帯雨林の豊かな水量をたたえる。多雨期には河川が氾濫して、ほとんどの土地が水没するが、そのとき残されるわずかな陸地に、巨木の杭を打ち立て、高床式家屋の村並みが築かれる。この地方には独自の様式の美術を伝える数十の少数民族が割拠する。」次に具体的な仮面について触れています。「セピック河地方にはじつに多彩な仮面がみられるが、仮面は人間が顔につけるものばかりではない。家屋の破風や柱にとりつける大きな仮面、戦闘用カヌーにつける仮面、あるいは仮面の下部が股鉤や台架になっているもの、土器の形の仮面、竹笛につける小さな仮面、精霊堂の天井画の顔の部分につける木彫仮面など、造形ばかりではなく、とりつける場所や機能性においても多種多様な仮面がある。」村には精霊堂があり、そこにも仮面が溢れているようです。「精霊堂は祖霊の像や精霊の姿が巨木の柱に彫りこまれたり、天井一面に描かれるなど、屋根、破風、棟、梁、天井、柱、壁と、ほとんどあらゆる部分が念入りに彫刻、彩色され、仮面、神像、楽器などの神聖な祭具がなかに安置され、槍、盾、弓矢などの武器が保存されている。その絢爛、華麗、幻想、怪奇の様相は圧倒されるばかりの迫力である。これらの装飾となるあらゆる彫刻、彩色が神や精霊の姿であり、精霊堂のなかは顔、顔、顔にあふれている。」また化粧も祭祀で扱われているようです。「セピック河地方における多彩な祭祀をみてみると、仮面をかぶらなくても、化粧などによって人間が超越的な存在に変身する例をみうけることができる。~略~これらの祭祀で興味深いのは、化粧が仮面と共通する機能を示す点である。仮面を用いなくても、ダイナミックな変身が可能であり、人間は超越的な存在へ成り代わることができる。セピック河地方の人々はわれわれの目をうばうばかりの装いをみせる。とくに女性よりも男性のほうが絢爛な装いをみせる。~略~セピック河地方の人々にとって、仮面のいでたちは扮装(ニセモノ)ではなく具現(ホンモノ)である。大自然に育まれ、大自然と一体となった文化を築き上げるなかで、大自然にさまざまな精霊の姿を認め、それと合一の手段として創りだしたもの、それがセピック河地方の仮面文化であろう。」(引用は全て福本繁樹著)