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「九州の民俗仮面」を読み始める
「九州の民俗仮面」(高見剛 写真・高見乾司 文 鉱脈社)を読み始めました。本書をどこで手に入れたものか記憶がありません。昔、九州を旅していた頃に湯布院にあった旧・由布院空想の森美術館を訪れて、壁面に掛けられた多くの土俗的な仮面に感銘を受けたことがあり、そこで購入したものか、それとも東京の日本民藝館で「九州の民俗仮面展」を見に行った時に購入したものか忘れてしまいましたが、私の家の書棚に長く眠っていました。先日まで読んでいた「仮面ーそのパワーとメッセージ」(佐原真監修 勝又洋子編 里文出版)の関連で、今回は本書を手に取りました。もともと私は仮面好きで、とりわけ九州の高千穂に行ったときに夜神楽を見て、仮面が生き生きとして活躍している様子を拝見しました。夜神楽とは何か、これを調べてみると、里ごとに氏神(うじがみ)様を神楽宿と呼ばれる民家や公民館にお招きし、 夜を徹して三十三番の神楽を一晩かけて奉納する、昔からの神事ということが記されていました。九州にはさまざまな仮面が残されていて、日本の伝承文化の一端を知ることが出来ます。本書のはじめに高見乾司氏のこんな文章がありました。「九州は、民間に分布する神楽面や、呪術や祈祷などの民間祭祀に使われた種々の信仰仮面などが数多く分布し、さまざまな芸能や民間信仰、神話・伝説などと混交しながら伝承される、いわゆる『民俗仮面』の宝庫であり、『仮面文化の十字路』と形容される。~略~『民俗仮面』は、庶民の生活、信仰とともに生まれ、伝えられてきたものである。そしてそれは様式化されることなく、多種多様の相貌をみせる。縄文時代の土面文化とどこかでつながっているのではないかと思わせるものさえ存在する。民俗仮面の多くは、村や神社、家などに『神』として伝承される例が多いことも古型を保ち続けてきた重要な要素である。世界の仮面文化を俯瞰すると、仮面は悪霊が宿ると考えられ、祭りや祈祷・呪術などに使用された後は火で浄化され(つまり焼却され)たり、再生儀礼として塗り直されたりするため、残存する例がきわめて少ない。村の神や神楽に登場する神々、家の守り神などとして伝えられてきた日本の民俗仮面は、貴重な資料であり文化遺産であるということができる。」