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「九州の民俗仮面の分布」のまとめ
「九州の民俗仮面」(高見剛 写真・高見乾司 文 鉱脈社)の「九州の民俗仮面の分布」をまとめます。本論は地域によって5つの単元に分かれています。まず、「1.北部九州の仮面」です。「北部九州は、修験道の霊地として栄えた英彦山・求菩薩山を中心に、修験道の影響をつよくうけた神楽や芸能などが数多く分布する。」その中で鬼を払う追儺が登場する箇所に気がとまりました。「国東半島には、『修正鬼会』と呼ばれる『追儺』の祭りが伝わる。追儺とは、善鬼が悪鬼を追うという儀礼で、その起源は中国春秋戦国時代にまでさかのぼることができる。」次に「2.中部九州の仮面」です。ここには阿蘇山があります。「熊本県阿蘇地方は、世界最大のカルデラ火山で、阿蘇修験が栄えた。阿蘇神社は、神武の孫『建磐龍命』を主神とする神社で阿蘇信仰にまつわるさまざまな儀礼を残しながら周辺の神社祭祀や神楽などの芸能に影響を与えている。」次は「3.九州脊梁山地の仮面」で「九州脊梁山地とは、阿蘇山系から霧島山系へ向けて九州の中央部を縦に走る山岳地帯のことで、文字通り九州島の骨格を形成する山脈である。この山地には、高千穂の天孫降誕伝説、椎葉の狩猟・焼畑文化、米良の南北朝伝説などと関連する多彩な神楽や仮面芸能が分布する。まさに仮面文化の宝庫である。」とありました。次に「4.霧島山系の仮面」についてです。「この地方の神楽や田植え祭りでは、『田の神舞』が上演される。田の神は、黒い顔の翁面であったり、歪んだ顔の白い翁面であったり、『道化』であったりする。『渡来してきた支配者に対して服属儀礼を奉納する先住の民』という構図がみてとれる。」最後は「5.南九州の仮面」です。「霧島以北の仮面文化が『渡来仮面』以後あるいは中世の『芸能仮面』発生以後のものがおおいことに比べ、霧島以南の仮面文化は、南島文化との接点をもつもの、日本の土着仮面の面影をとどめる『信仰仮面』が数多く分布することなど、あきらかに様相が異なるからである。~略~南九州の仮面文化は、記紀神話や南島の仮面文化と混交し、影響し合いながら、独自の展開をみせている。とくに『信仰仮面』と呼ばれる仮面のなかには、先住民としての古代隼人の習俗と関連するのではないかと思わせるものもある。」今回はここまでにします。