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「猿田彦と鼻高面の系譜」のまとめ
「九州の民俗仮面」(高見剛 写真・高見乾司 文 鉱脈社)の「猿田彦と鼻高面の系譜」をまとめます。日本の民俗仮面の中で鼻高を強調した猿田彦の仮面は有名で、この猿田彦について私は予てから関心がありました。猿田彦とは何者か、分かり易く説いた箇所を引用いたします。「猿田彦は親しみ深いけれども謎も多く、怖そうだけれども異性の魅力には弱く、争いを好まず、天と地あるいは国と国との境界を守りながらも新しい文化・人脈を自身の勢力圏内へと案内し、土着の信仰と渡来の文化を混交させ、日本列島の文化の古層を残しながら現代に至るまでさまざまに変容を繰り返しながら分布する愛すべき神様ーすなわち『国つ神=先住民族の代表』であるということがわかった。」猿田彦は全国に分布しているようで、日本の仮面の中では一番存在感があると言えそうです。私も祭りを先導する猿田彦を見たことがあり、また棒に括り付けられた猿田彦の仮面も見ました。猿田彦の仮面が登場する時代のことが書かれている箇所を見つけたので引用いたします。「室町時代になると猿田彦の仮面が数多く登場するようになる。中世の修験者や芸能集団などが普及したと考えられる。このころ、赤い顔、高い鼻、という猿田彦面の特徴が確定する。」こうした仮面はやはり九州に多く分布していて、南九州にある伝承から一部紹介いたします。「南九州の祭りを先導する猿田彦には『弥五郎どん』及び『デオードン(大王殿)』と呼ばれる大人形がある。これは古代隼人文化圏に分布し、制圧された隼人の霊を鎮める祭りである。弥五郎どんそのものが祭りを先導する例、弥五郎どんの行列の前を猿田彦または赤・青一対の鼻高面が先導するという例もある。弥五郎どんは隼人の首長とも言われる。弥五郎どんが猿田彦であるとする説もある。」今回はここまでにします。