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「南九州の『信仰仮面』」のまとめ
「九州の民俗仮面」(高見剛 写真・高見乾司 文 鉱脈社)の「南九州の『信仰仮面』」をまとめます。「『信仰仮面』は『王面系』『獅子面』『来訪仮面』(南西諸島や本土の一部にみられる来訪神)の一群に分けられる。『王面系』はさらに御霊鎮めの面、神社の柱や壁に掛けられる掛け面などの『王面』と、依代・先導・先払いなどの役割をもつ『神王面』に分けられる。神王面はさらに『猿田彦』の系統と、ただ単に鼻が大きいだけの『王鼻』や眼球が飛び出ている『飛目』、弥五郎どん、大王殿などの大型面に分類される。『芸能仮面』は神舞面を主流とし、能面や南西諸島などの野外舞踏仮面がこれに入る。~略~『王面』とは、額または裏面に『王』の文字が刻字または墨書された仮面をいう。その多くは表情の厳しい鬼面型であり、大きさは10センチメートルほどの小ぶりのものから40センチメートルもある大型のものまである。」こうした仮面にはどんな機能があったのか、引用いたします。「神の依代としての機能、修験道や御霊信仰と混交した呪術的機能、神域を守る守護面としての機能などを持ったものなどが多い。」私が気に留めた王面に関する箇所を挙げます。「王面には、『火の王・水の王』と類似するものもある。~略~熊本県小川町日吉神社の『面取り神事』は、神社本殿に飾られた『火の王(赤)・水の王(青)・風の王(緑)』の面を、目隠しをされた子供が無作為に取り上げ、その取った面の色によってその年の天候=農事を占うという神事である。」また隼人族に関する伝承にも私は興味を覚えました。「デオードンや弥五郎どんは、いずれも40センチメートルから70センチメートルもある大仮面である。その弥五郎面が、4~7メートルもある大人形につけられ、祭りの行事を先導する。弥五郎どんは、行列を先導したあと、境内または村の境に立つ。弥五郎は『隼人の首領』とも伝えられ、先住民古代隼人族の習俗を残す事例である。弥五郎面は、人形につけられる大仮面のほかに神社に奉納される弥五郎面がある。御霊鎮めの呪力のつよい面である。弥五郎面は猿田彦面、王面との共通項をもつ。」今回はここまでにします。