Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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新聞より抜粋「モダニズムの批判」
今日付けの朝日新聞夕刊に、先日私が見てきた「ヘザウイック・スタジオ展」に関する記事が掲載されていました。ヘザウイック・スタジオが造り出す建造物は、近代建築を代表したバウハウスやそこで校長を務めたミース・ファン・デル・ローエが実践した「レス・イズ・モア(少ない方が豊か)」というシンプルな箱型建築からの懐疑から始まったようです。記事から引用をいたします。「その思想は、モダニズム建築を退屈と難じ、1980~90年代を席巻した、装飾性や物語性重視のポストモダン建築に重なる。後日この点を問うと、『ポストモダン建築は奇妙な造形が張り付くだけで魂を与えるものではなかった』とし、細部から生まれる感情や体験を重視したいと述べた。さらに構造や機能とかけ離れた表面的な造形や装飾性になりかねないのではないかという点については、『機能の再定義が必要だ。感情も機能として考えるべきだ』と回答した。」(大西若人著)そもそも建築の合理性を考えるなら、シンプルな造りになりそうだなぁと私は思っていて、造りが複雑になれば建築費が高額になり、そこを使って生活する人々に受け入れてもらえるかという課題も浮き彫りにされるのではないかと考えがちです。そこを乗り越えて人々が真に共感できるなら、波打つ構造を有する彫刻のような建造物も存在意義を見出せるだろうと思っています。私が建築ではなく彫刻を選んだ理由は、彫刻は人の共感を得られなくても自らの勝手な思索だけで成り立つ造形だからです。これから開業されるヘザウイック・スタジオによる東京・麻布台ヒルズは、彫刻的な視点で見たら大変楽しく刺激的な建造物ですが、果たして生活にどんな影響や効果が出るのか、私も訪れてみたいと思っています。私にとっては理想的な建築がそこにあるのですから。