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「仮面の解釈学」を読み始める
大手書店に行くと、私は興味関心のある書籍の題名だけを選んで、爆買いをする悪癖があります。購入した書籍はリュックサックに詰め込めるだけ詰め込んで自宅に戻ります。そのうちの多くの書籍は自宅の書棚に仕舞い込んで、初めのうちはとつおいつ読んでいましたが、後は忘れてしまうのです。学生の頃は金銭面で厳しかったにも関わらず、書籍購入だけは両親が大目に見てくれていたおかげで、アルバイト代のほとんどが彫刻材料費と書籍代に消えていきました。私の読書方法は、同時に多読して、そのうち途中で諦めてしまうものもあり、何をどの程度読んだものか忘れているケースがあります。実家にいた時は書籍を積み上げていましたが、結婚して自宅を新築した時は両側の壁に天井までの書棚を作ってもらいました。そこで書籍を分類して置いておいても、次から次へと新しい書籍が増えていって、既に書棚は混乱を極めています。その乱雑な書棚にいつ購入したものか分からない「仮面の解釈学」(坂部恵著 東京大学出版会)がありました。これを引っ張り出して、埃を払って今日から読み始めました。これは途中放棄ではなく未読のはずで、どこにも傍線を引いていないのが証拠になるのです。著者の坂部恵氏は東大でカント哲学を修めた人らしく、文章はやや硬質な感じを受けました。カント哲学と言えば叔父の量義治も東大でカントをやっていたので、交流があったかもしれませんが、叔父も坂部氏も既に故人なので確かめる術がありません。本書の「仮面」という題名が気になって、仮面関連の書籍を大量に購入した時に、手に入れたものではないかと推察しています。そのほとんどが民俗学に由来する論考でしたが、「仮面の解釈学」はやや趣の異なる内容のようです。このような哲学的論考を感じさせる書籍は、若い頃の私であれば数頁読んで書棚に戻してしまうところを、歳を取って多少なり読書に粘り強くなった今の私なら、何とか読み込んでいけるのではないかと思っています。私の知的容量はまだまだ満たされていないと感じているこの頃です。